トイレが流れない、あるいはゴボゴボと音を立てて水が逆流してくる。この不快な「詰まり」トラブルは、配管のどの場所で発生しているかによって、その原因と対処法が大きく異なります。まず、詰まりが最も発生しやすいのが、便器内部から直下の排水管にかけての「排水トラップ」部分です。このS字状のカーブは、悪臭を防ぐための重要な役割を果たしていますが、同時に、トイレットペーパーや汚物が最も留まりやすい場所でもあります。一度に大量のペーパーを流した場合の詰まりは、ほとんどがこの場所で起きています。このレベルの詰まりであれば、ラバーカップや、市販のワイヤーブラシ、あるいは真空式パイプクリーナーといった、家庭用の道具で解消できる可能性があります。しかし、これらの道具を使っても解消しない場合、問題はさらに奥深く、床下や壁の中を走る「横引き管」や、建物全体を貫く「排水立て管(縦管)」で発生している可能性があります。横引き管の詰まりの原因としては、長年の使用で蓄積された尿石や、配管の勾配不良、あるいは木の根の侵入などが考えられます。また、マンションなどで、複数の部屋に影響が出ている場合は、共用部分である排水立て管が詰まっている可能性が濃厚です。これらの、手の届かない場所での詰まりに対して、プロの水道業者は、専門的な機材を駆使して対処します。一つは、「トーラー(ワイヤークリーナー)」です。これは、先端に様々な形状のアタッチメントを取り付けた長いワイヤーを、電動で回転させながら排水管の奥へと挿入し、固まった汚れを削り取ったり、異物を絡め取ったりする機械です。もう一つが、より強力な「高圧洗浄機」です。超高圧の水を噴射する特殊なノズルを排水管内に挿入し、管の内壁にこびりついた尿石や油脂の塊を、根こそぎ剥ぎ落として洗い流します。詰まりを解消するだけでなく、配管内を新品同様にリフレッシュできるため、再発防止にも大きな効果を発見します。業者に依頼した場合の費用相場は、トーラー作業で8,000円から20,000円、高圧洗浄作業で30,000円から60,000円程度です。DIYでの対処に限界を感じたら、無理をせず、プロの力を借りることが根本的な解決への近道です。
トイレ配管の詰まり、場所別の原因とプロの解消法