トイレの排水管の構造を理解する上で、最も重要で、かつ最初に確認すべきなのが、便器からの排水が「床」に向かって抜けているか、「壁」に向かって抜けているか、という「排水方式」の違いです。この違いによって、設置できる便器の種類や、リフォームの自由度が大きく変わってきます。まず、現在の日本の戸建てやマンションで最も一般的なのが「床排水」方式です。これは、便器の真下にある排水口から、汚水が床下の排水管へと直接流れ落ちていくタイプです。見分け方は非常に簡単で、便器の後ろや側面を見ても、太い排水管が見えないのが特徴です。便器が床に直接ボルトで固定されており、配管はすべて床下に隠れているため、見た目がスッキリしています。この床排水方式のトイレを交換する際に重要になるのが、「排水芯(はいすいしん)」と呼ばれる寸法です。これは、壁から排水管の中心までの距離を示すもので、一般的には200mmが標準ですが、古い住宅やリフォーム用の便器では、305mm〜540mmなど、様々な寸法のものがあります。新しい便器を選ぶ際は、この排水芯の距離に適合した製品を選ぶ必要があります。一方、マンションの中高層階などで見られるのが「壁排水」方式です。これは、便器の後方から突き出た排水管が、壁の中を通る排水管へと接続されているタイプです。便器の後ろを覗き込むと、壁に向かって太い蛇腹状のパイプや、塩ビ管が接続されているのが見えるため、一目で見分けることができます。壁排水方式で重要になるのは、床から排水管の中心までの高さを示す「排水高」です。一般的には120mmか150mmが標準的な高さとなります。このように、自宅のトイレが床排水なのか、壁排水なのかを把握することは、DIYで便器を交換したり、リフォームを計画したりする際の、絶対的な前提条件となるのです。
床排水?壁排水?自宅トイレの配管方式を見分ける方法