お湯が出ないトラブルの原因として最も多いのが、私たちの生活に不可欠な「ガス給湯器」本体の不具合です。ある日突然、ウンともスンとも言わなくなったり、奇妙なエラーコードを表示したりする給湯器。その背景には、いくつかの典型的な原因が隠されています。まず、ガス給湯器が動かなくなる最も一般的な原因が、「点火不良」です。リモコンの運転スイッチを押すと、給湯器の内部では「カチカチカチッ」という点火スパークの音がするはずですが、この音がしない、あるいは音がしても炎が燃え移る「ボーッ」という音がせず、やがてエラーが表示される。これが点火不良の典型的な症状です。原因としては、ガスの供給が止まっている(後述のガスメーター参照)、点火装置自体の故障、あるいは雨や強風で給排気口が塞がれていたり、湿気で点火しにくくなっていたりすることが考えられます。次に、多くの人が見落としがちなのが、「ガスメーターの安全装置作動」によるガス供給の停止です。ガスメーターは、震度5程度の地震を感知した場合や、ガス機器の長時間使用、あるいはガス漏れの疑いがある場合に、安全のために自動でガスの供給を遮断する機能を持っています。もし、ガスコンロも点かないようであれば、この可能性が非常に高いです。メーターの復帰ボタンを押すことで、簡単に復旧できます。そして、給湯器の不調を私たちに知らせてくれる最も重要な情報が、「リモコンのエラーコード」です。例えば、「111」や「11」は点火不良、「140」や「14」は過熱防止装置の作動など、数字によって故障の原因が特定できるようになっています。エラーコードが表示されたら、慌てずに、まずは給湯器の取扱説明書でそのコードが何を意味するのかを確認してください。簡単なリセット操作で復旧する場合もあれば、専門家による修理が必要な深刻なエラーである場合もあります。エラーコードは、給湯器からのSOSサインです。その意味を正しく理解することが、迅速な問題解決への第一歩となります。