ガス給湯器とは異なり、深夜電力を使って夜間にお湯を沸かし、巨大なタンクに貯めておく「貯湯式」の電気温水器やエコキュート。このタイプの給湯器でお湯が出なくなる原因は、ガス式とは全く異なる、特有のものがほとんどです。その中でも、最も多く、そして基本的な原因が「湯切れ」です。貯湯式の給湯器は、タンクに貯めてあるお湯を使い切ってしまうと、当然ながらお湯は出なくなります。例えば、来客などで普段よりも多くお湯を使ったり、お湯張りの設定を間違えたりすると、夜間に次の沸き増しが行われるまで、お湯が使えない状態に陥ります。これが湯切れです。多くの機種では、リモコンで「沸き増し」や「追い焚き」の操作をすることで、昼間でもお湯を沸かすことが可能ですが、沸き上がるまでには時間がかかります。次に考えられるのが、「電力供給」の問題です。電気温水器やエコキュートは、電気料金の安い深夜電力で稼働するように設定されているため、夜間に何らかのトラブルがあると、お湯が沸かされないまま朝を迎えることになります。例えば、夜間に一時的な停電があった、あるいは、電気温水器専用のブレーカーが、何らかの理由で落ちていた、といったケースです。分電盤を確認し、専用のブレーカーが「切」になっていないかを確認してみましょう。また、リモコンの設定が、意図せず「休止モード」や「おでかけモード」になっていて、沸き上げが停止されていることもあります。長期間の旅行から帰ってきた後などは、この設定を元に戻し忘れていないか確認が必要です。さらに、冬場に特有なのが、貯湯タンクとヒートポンプユニット(エコキュートの場合)を繋ぐ配管の「凍結」です。配管が凍りついてしまうと、お湯を沸かすことも、タンクからお湯を供給することもできなくなります。ガス給湯器が「その場でお湯を作る」のに対し、電気温水器は「作り置きしたお湯を使う」という、その根本的な仕組みの違いを理解することが、トラブルの原因を突き止めるための鍵となるのです。